弁護士法人 十枝内総合法律事務所

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法律コラム

目次
任意後見親の残した借金
夫婦間の贈与配偶者居住権
離婚・養育アパートの法律関係
遺留分落雪・除雪
養育費交通事故
「日用品を無料でもらえる」と誘われたインターネット通販のトラブル
会社が残業代を支払ってくれない退職を迫られた
落雪・除雪住宅ローンが払えない
保証人を依頼された相続人中に行方不明者がいる場合
登記が必要な場合住宅ローンが払えない

任意後見

Q1)任意後見とは何ですか。
A)成年後見制度には①法定後見と②任意後見があります。その違いをまとめてみました。
法定後見任意後見
するかどうか決めるのは本人以外がほとんど本人
するかどうか決める段階本人の判断能力低下後まだ判断能力がある時
後見人を選ぶのは家庭裁判所本人
必要な手続家庭裁判所への申立公正証書の作成+家庭裁判所への申立(後に)
大まかに言えば、①法定後見は、今認知症の人に周囲の人が後見人を付けるもの、②任意後見は、将来に備えて本人が後見人を決めておくものです。
Q2)ズバリ任意後見のメリットは何ですか。
A)自分の将来を委ねる後見人を、自分で選べることです。法定後見だと、裁判所が後見人を選ぶので、本人や家族の意向に沿ったものになるとは限りません。
Q3)任意後見の利用はどのような流れになりますか。
A)まず、元気なうちに、後見人になって欲しい人と契約を結びます(契約は公正証書で行う必要があります)。そして、後に判断能力が低下した段階で、家庭裁判所に後見人の「監督人」選任の申立を行います。後見人と監督人が揃うと、後見がスタートします。
Q4)成年後見は必要でしょうか。(法定後見・任意後見共通)。
A)財産があって生前に整理するなら、必要でしょう。注意したいのは、遺産や経営権といった、見えにくい財産です。例えば、先代の遺産(特に土地・建物)があって、遺産分割協議をしないまま相続人が認知症になってしまった場合、成年後見を利用しないと、遺産をどうすることもできなくなります。また、オーナー経営者が認知症になってしまうと、後継者への事業の引継に重大な支障が出てしまいます。もちろん、どちらの事例も、認知症になる前(つまり成年後見を利用する前)に解決するのが一番ではあります。


亡くなった父親の借金

Q)父が借金を残して亡くなりました。残された母と私(長男)が支払わなければならないのでしょうか。
A)亡くなってから3か月以内に相続放棄をすれば、その人は亡父の借金を支払う必要はありません。相続放棄のポイントは、3カ月以内に家庭裁判所で行うことです(亡くなってから3カ月以内と覚えておけば良いでしょう)。なお、日常の感覚では、相続人同士で話し合って「相続しない」と決めることを相続放棄と考えるかも知れませんが、法律が定める相続放棄は、家庭裁判所に申述することですので、注意が必要です。
Q)2年前に父が亡くなり、最近になって、多額の借金をしていたことが発覚しました。相続放棄はできないのでしょうか。
A)亡くなってから3か月以上が経っていますが、借金の存在を知らなければ相続放棄も出来ないので、このような場合に相続放棄ができないのは酷と言えます。そこで、借金の存在を知った時から3か月以内なら、相続放棄が認められる可能性があります。その旨を、家庭裁判所で説明(申述書へ記入)して下さい。
Q)亡父名義の自宅に住んでいます。相続放棄するとどうなりますか。
A)相続放棄をすると、資産も含めて一切相続できなくなります。借金だけを相続放棄することはできません。したがって、①自宅も借金も相続しないのか、②自宅を相続した上で借金を支払っていくのか、どちらかになります。慎重に考えてから、決めて下さい。
Q)相続放棄の手続をした後にすることはありますか。
家庭裁判所からの照会等を経て、受理されれば終了です。やがて家庭裁判所から受理の通知が来ますから、大切に保管しましょう。受理の証明書が必要であれば、改めて家庭裁判所で取得して下さい。


夫婦間の住宅の贈与

Q 長年連れ添った夫が亡くなり、相続人は妻である私と息子1人です。夫から生前、同居していた家(価値500万円)を贈与されていました。夫の遺産は500万円の預金だけです。息子から、既に500万円分の贈与を受けているのだから、預金は全額自分が相続すると言われています。
A 生前贈与は、相続の場面では「特別受益」とされ、死去した時の遺産に加えて計算されます。今回の件では家500万円+預金500万円の計1000万円が遺産となり、それを妻と息子で1/2ずつ相続することになります。そうすると、妻は既に価値500万円の家を受け取っているので、原則は、息子の言うとおりの結論になります。しかし、亡夫が二人で協力して築いた家を生前贈与したのは、貢献してくれた妻に報いるため、また、残された妻の生活保障のためであったと考えられます。相続の計算とは別に贈与する意思だったと考えるのが自然です。そこで、現在の民法では、このような故人の意思を法律で「推定」することにより、遺産に加えないことにしています。今回の件では、生前贈与された家の価値は遺産に加えず、遺産は預金500万円だけとなります。それを妻と息子とで250万円ずつ分け合うことになります。
Q どんな生前贈与でも「推定」が認められるのですか。
A いいえ、①婚姻から20年以上の夫婦の間で、②居住用不動産を贈与したときに限定されています。また、2019年7月1日以降の贈与が対象です。
Q 婚姻20年未満の夫婦が、相続に影響されずに生前贈与したい時は、どうすればよいですか。
A 法律による故人の意思の「推定」ではなく、贈与の意思を「事実」として残しておきましょう。例えば、「特別受益として持ち戻す必要はない」などと贈与の意思を文書で明確にしておけば良いでしょう


配偶者居住権とは

Q 配偶者居住権とはどんな権利ですか。
A 2020年4月に創設された、故人の配偶者が引き続き建物に住み続けられる権利です。配偶者短期居住権(一定期間、無償で居住できる権利)と、配偶者居住権(終身、無償で居住できる権利)の二つがあります。
Q 私は夫名義の建物に同居していました。夫が亡くなると、すぐに子から相続分(1/2)の部分は不法占拠だとして賃料を支払うように要求されました。
A 賃料を支払う必要はありません。たしかに、夫が亡くなり遺言書がなければ、妻と子が1/2ずつ遺産を相続することになります。しかし、故人の意思は、建物について遺産分割協議がまとまるまで妻が無償で住み続けても良い、というのが自然でしょう。そこで、このような無償で住み続けられる権利が、現在でも法律実務で認められており、改正法では配偶者短期居住権と明記されています。
Q 遺産分割協議で、子から、建物の1/2はいらないから預金の全部をもらいたいと言われています。私は、建物に住み続けたい思いがある一方で、今後の生活費を考えると預金も取得したいです。
A 遺産分割後も安定的に建物に住み続けるには、建物の所有権を全部取得することがベストですが、その代わり、預金などの取得分が目減りする虞があります。そこで、配偶者居住権を主張しましょう。無償で住み続ける権利が保障されるので、無理に建物の所有権を取得しなくて済みます。
Q 配偶者居住権はどのように主張すればよいですか。
A まず条件は、①故人が所有していた建物で、②配偶者が住んでいて、③他人と共有していないことです。方法としては、通常は遺産分割の話し合いの中で主張することになりますが、遺言書に書いておいてもらうこともできます。


離婚・養育について

Q1)(妻から)私は育児中で、収入・資産がありません。離婚したいのですが、今後の生活が不安で離婚を言い出せません。
A)主に妻が育児を行っているのであれば、子供の福祉の観点から、離婚後は通常、妻が親権者になるでしょう。そうすると、夫の収入の中から養育費を払ってもらうことができます。また、離婚がまとまるまで別居する場合、その間、同様に婚姻費用(生活費、養育費等)を払ってもらうことができます。
Q2)(妻から)離婚する際、養育費を請求しないとの約束をしました。今後一切請求できないのでしょうか。
A)約束した以上、養育費は請求できません。しかし、それでは酷な結果となる場合もあります。そこで、①約束が極めて不合理であると主張する、②子供から請求する形式にする等の方法が考えられます。弁護士にご相談下さい。 いずれにしても、いったん約束したことを覆すのは大変な困難を伴います。安易な約束をしないように注意して下さい。
Q3)離婚する際に、養育費を3万円と定めました。(妻から)子供が私立高校に進学することになり、養育費が足りません。(夫から)再婚相手との間に子供ができて、養育費の支払いが苦しくなりました。
A)養育費の適正金額は、長い年月の中で変わることがあります。質問のように事情が大きく変化した場合、話し合いや家庭裁判所の調停等によって、金額を増減することができます。
Q4)(夫から)離婚後、妻は「子供が嫌がっている」と言って、子供に会わせてくれません。
A)離婚後、別居することになった子供と会うことは、親の権利として認められています。これを拒むことができるのは、虐待・連れ去りの危険性等、子供の福祉の観点から悪影響が想定される例外的な場合です。質問のような子供の意向は、子供が15歳前後になるまであまり考慮されません。妻が拒むのであれば、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。


養育費について

Q 夫と離婚し、私(妻)が子2人の親権者になることになりました。養育費はいくらになりますか。また、何歳まで払われますか。
A それぞれの収入を元に、本人同士で話し合って決めることになるでしょうが、裁判所のHPにある養育費算定表を参考にすると良いでしょう。算定表によると、例えば、夫の年収360万円・妻の年収100万円・子が2人とも15歳未満の場合、4〜6万円(子2人分)とされています。また、支払の期間は、20歳になるまでとすることが多いようです。
Q 夫は「離婚する原因はお前にあるから、養育費は払わない。」と言い張っていて、話がまとまりそうにありません。
A 養育費は子どもの生活費であって、親である以上は払わなければなりません。離婚の原因がどちらにあるかとは関係ありません。話がまとまらないようでしたら、家庭裁判所での話し合い(調停手続)を利用しましょう。調停では、調停委員が間に入って、調整してくれます。調停がまとまれば調停調書が作成されます。
Q 離婚や養育費について公正証書を作った方が良いのですか。
A 約束を文書で残すことは大事ですが、公正証書までは不要でしょう。たしかに、公正証書を作成しておけば、約束した養育費が支払われない時に相手の給料や銀行口座を差押えることができます。しかし、相手の勤務先がわからなかったり、財産がなければ無意味です。逆に、勤務先・財産がはっきりしているなら、養育費が支払われなくなったときに、家庭裁判所での調停を利用すれば良いのです(調停調書でも差押えができます)。公正証書を作るために費用がかかること、十和田から八戸まで行かなければならないこと、費用は調停の方がはるかに安いこと(申立だけなら約2000円)を考えると、公正証書の作成までは不要でしょう。


アパートの法律関係

Q1)借りていたアパートから引っ越すことになりました。退去の際は元通りにする必要があると聞いたのですが、どこまでやれば良いですか。
A)借主には、自分の物を撤去して、物件を返す義務があります。これを原状回復義務といいます。「原状の回復」と聞くと「古くなったものを元通り新品にして返す」というイメージを持たれるかも知れませんが、そこまでする必要はありません。自分が持ち込んだものを撤去すれば十分です。ただし、社会常識として掃除は必要でしょう。
Q2)退去の際、敷金から壁紙クロスの交換費用を差し引くと言われました。
A)物は時間の経過と共に古くなるのは当然ですから、①普通に使っていて(これを「通常の使用」と言います)価値が落ちたものは負担しません。逆に、②普通に使っていたとは言えない汚れ、傷は貸主が負担することになります。壁紙クロスが自然に色落ちしたり、結露から発生したカビで汚れたり、冷蔵庫の裏で黒ずんでいたりしても、通常の使用によるものですから交換費用は借主の負担ではありません。敷金から差し引くことはできません。
Q3)壁紙クロスを不注意で破いてしまったときはどうなりますか。
A)この場合は、通常の使用法によるものではありませんから、借主が負担することになります。もっとも、負担の範囲は、基本的に補修した部分だけ、広くてもその壁紙クロス1枚だけです。これをきっかけに部屋全体の壁紙クロスを全部貼り替えることになったとしても、全部について負担する必要はありません。
Q4)契約更新月を迎えますが、次の契約から家賃を2倍にすると言われました。
A)法律は借家人を保護しています。貸主が、家賃を増額しなければ更新しないと希望しても、まず不可能です。貸主の申し出は明確に断った上で、前と同じ家賃を払えば、そのまま住み続けることができます。


相続人中行方不明者がいる場合

Q1)父が亡くなり、相続の手続をしたいのですが、兄弟3人のうち1人が行方不明です。
A)相続の手続は、遺産分割協議書を作り、相続人全員で判を押すことになります。質問のように、相続人の中に行方不明の人(仮に弟Aとします)がいる場合、弟Aを除いて遺産分割協議書を作成しても無効です。土地の登記などはできません。そこで、弟Aの代わりに判を押す人が必要になります。それが「不在者財産管理人」です。家庭裁判所に申し立て、調査の後、家庭裁判所が不在者財産管理人を任命します(以上の手続には時間と費用がかかります)。その後、不在者財産管理人も加わって、遺産分割協議書を作成することになります。
Q2)弟Aは、離婚した後、子ども1人を残して行方不明になりました。その子Bを相手に相続の手続ができませんか。
A)行方不明の人の生死が7年間明らかでないときは「失踪宣告」制度を利用することもできます。失踪宣告により、弟Aは死亡したものとみなされ、子Bが相続人となります。そうすると、子Bが遺産分割協議書の作成など相続の手続をできるようになります。失踪宣告の手続も、家庭裁判所に申し立て、調査を経ることになります。この手続も時間と費用がかかります。
Q3)このようなトラブルを避ける方法はありませんか。
A)遺言書を作成しておくことです。遺言書で、弟A以外の兄弟に相続させる内容にしておけば、不在者財産管理人や失踪宣告の手続は無用になります。遺言は自筆で作成することができますが、定められた形式があり、それを守っていないと無効となることがあります(無効な場合は、結局、不在者財産管理人や失踪宣告の手続を取ることになります)。そこで、自筆で遺言を作成する場合には必ず専門家に相談しましょう。


遺留分について

Q1)私には、夫がなく長男と長女がいます。財産の全部を長男に相続させる遺言を作成しました。死後、どのように扱われますか。
A)この遺言は、法律的には有効ですが、遺留分の問題が生じます。子が相続人の場合、その相続人には遺言によっても侵害されない部分(遺留分)があります。遺留分を侵害する遺言を作成しても有効ですが、後に遺留分の請求があると(正式には「遺留分減殺請求」と言います)、その部分の遺言は無効になります。もっとも、遺言全部が無効になるわけではなく、請求された遺留分の部分だけが無効になります。以上の話を簡単にすると「遺留分の請求がなければ有効」というものです。
Q2)(先ほどの例で)私は長女ですが、母の死後、遺言で全財産一千万円が長男に相続されました。遺留分を請求できますか。また、遺留分は幾らになりますか。
A)遺留分を請求する場合、次の条件を充たす必要があります。①相続人が子や孫、配偶者等であること(兄弟姉妹は不可)。②遺留分の侵害を知ってから一年以内かつ死後一〇年以内であること。長女であれば、①は問題ありませんので、②が必要になります。また、子の場合の遺留分は、法律で定められた相続分(この場合は1/2)の1/2となりますので、一千万円の1/4、すなわち250万円が遺留分減殺請求できる金額となります。
Q3)(先ほどの例で)遺留分減殺請求をしたいのですが、どうすれば良いですか。
A)法律では、遺言で財産を受け取った相手に対し、遺留分を請求する意思を表明すれば良いとされています。そこで、長男に対し、内容証明郵便で遺留分として250万円の支払を請求する文書を送ると良いでしょう。長男が250万円の返還に応じない場合、家庭裁判所で行う調停等の法的手続を進めることになります。  最後に 以上では分かり易くするため割愛した部分もあります。遺留分の問題は非常に難しい話ですので、必ず弁護士に相談して下さい。


「日用品を無料でもらえる」と誘われた

Q 近所の友人から「日用品を無料でもらえる」と言われ、しばらく前まで空き店舗だった所へ一緒に行きました。会場にはたくさんの参加者がいて活気があり、司会の男性の話も上手で、とても盛り上がっていました。最後に「健康器具が今日だけ半額」という話があり、つい買ってしまいました。しかし、家に帰ってから考えると、代金が高額でとても払えそうにありません。
A 狭い会場に人を集め、販売員が巧みな話術で盛り上げて、ただ同然で日用品などを配り、高揚した気分になったところで高額な商品を売りつける手口は、SF商法(催眠商法)と呼ばれています。典型的な悪質商法です。このケースでは「クーリング・オフ」と言って、無条件で契約を解除することができます。ただし、一定の期間内にしなければなりません。クーリング・オフの方法は消費生活センターで助言していますので、一刻も早く十和田市消費生活センター(電話51−6757)へ相談して下さい。
Q 健康器具を開封して使用してしまったのですが、クーリング・オフはできますか。
A できます。クーリング・オフをして、健康器具は(使用済であっても!)そのまま返すことができます。しかも、引取費用は販売業者の負担となります。仮に、購入した物が健康食品などで、一部を消費してしまっていても、未使用分についてはクーリング・オフができます。何よりも大事なのは「一定期間」ですので、一刻も早く消費生活センターへ相談して下さい。
Q 被害に遭わないようにするために気を付けることはありますか。
A 悪質商法全般に言えることですが、「ウマイ話には必ずウラがある」「タダより高い物はない」ということです。契約してしまった後でも、早めに相談すれば解決する可能性が高くなります。何かおかしいなと思ったら、独りで判断せずに、消費生活センターへ相談しましょう。


インターネット通販のトラブル

Q)インターネット通販で服を買ったのですが、考え直してみると不要だと思いました。クーリング・オフをしてキャンセルできませんか。
A)インターネット通販ではクーリング・オフができません。クーリング・オフは法律に定められた制度で、無条件で契約を解除できるものですが、通信販売には適用されないことになっています。ただ、販売業者がキャンセルの規定を定めている場合もあるので、ホームページ(HP)を確認して下さい。
Q)HPの画像で見た服とは別物と言っていいくらいの粗悪品が届きました。それでもキャンセルできませんか。
A)この場合には、注文どおりの商品が届いていないのですから、販売業者に対して、①注文した商品に交換すること、②一定期間内に交換しなければ解除することを要求できます。文書・メールでその旨を連絡しましょう。
Q)商品が交換されないうちに、販売業者と連絡が取れなくなりました。クレジットカードで決済したので、カード会社から請求が来ています。どうしたら良いでしょうか。
A)販売業者の問題を理由にして、カード会社の請求を拒否できる場合があります。一般社団法人日本クレジット協会のHPに支払停止の抗弁書がありますので、案内に従って記入し、カード会社に送りましょう。書き方が分からないときは十和田市消費生活センターに相談して下さい。
Q)インターネット通販で気を付けることはありますか。
A)購入する前にHPで契約内容(特にキャンセル規定)をよく読むことです。また、価格が安すぎたり、日本語がおかしいHPは、詐欺サイトの可能性があります。いったん契約したり、クレジットカード決済をしてしまうと、後から元に戻すのは大変です。「おかしいな」と思ったら、消費者ホットライン「188」に電話するか、十和田市消費生活センター(市役所1階)に相談しましょう。


会社が残業代を支払ってくれない

Q1)毎日残業をしていますが、社長が「うちの会社は残業代はない」と言っています。
A)通常の雇用契約であれば、残業代を払わないということはできません。そのような慣行があったとしても、法律違反であって、法律に基づいて計算された金額の残業代を支払ってもらえます。つまり、社長が残業代ゼロと言っても法律の世界では通らないのです。
Q2)社長が突然「今月から給料を減額する」と言い出しました。
A)給料の減額は、①給与規程が変更され、変更が正当な理由に基づく場合、②本人の同意がある場合など、限られた場合にしか認められません。仕事のミス等を理由とする減給処分も、簡単には認められません。一方的な給料の減額はかなり難しいと言えるでしょう。
Q3)会社を辞めた後でも、未払の給料・残業代を請求できますか。
A)会社を辞めても請求できますが、給料等には2年の時効があります。つまり、平成25年7月に請求するなら、支払日が平成23年7月以降の給料・残業代だけになります。また、必ず問題になるのが残業時間の証拠です。普段からタイムカードをコピーするとか、タイムカードがない会社なら出社・退社時刻を手帳にメモするといった予防策をお勧めします。
Q4)辞める時に「今後残業代を請求しない」との確認書に署名してしまいました。
A)このような書面に署名すると、残業代を請求できなくなる可能性があります。署名を求められた時は、内容をよく確認し、安易に署名しないように注意して下さい。 Q5)社長が給料・残業代を払わないの一点張りです。どうすれば良いでしょうか。 A)まずは労働基準監督署(合同庁舎3階)に相談しましょう。労基署が会社に対し指導することがあります。それでも埒があかない場合は、弁護士に依頼して、訴訟・労働審判を行うことになるでしょう。労働審判等の手続については9月号で紹介します。


会社から退職を迫られた

Q 会社から突然退職を迫られました。
A 会社があなたを退職させたいと考えても、その方法は、あなたが退職に同意するか、会社が解雇するかのどちらかしかありません。しかし、法律では解雇が認められる条件は非常に厳しく、通常はまず認められません。したがって、あなたが退職に同意しない限り、簡単に退職させることはできないのです。ですから、選択権はあなたが握っています。辞めたいのか辞めたくないのか、まずはあなたが決めることです。
Q 辞めたくありませんが、会社は納得しなさそうです。
A まずは「退職する意思はない!」と明確に伝えて下さい。それでも会社がしつこく退職を迫るようなら、社会保険労務士や弁護士に相談しましょう。
Q 怖かったので退職届を書いてしまいました。
A すぐに「退職届を撤回する」との文書を送りましょう。また、無理に書かされたのであれば、そのような退職届が有効かという問題も出てきます。ただ、いったん退職届を書いてしまうと、後で覆すのは難しくなります。辞めたくないなら、絶対に書かないことです。
Q 会社に嫌気がしたので、辞めることにします。
A 有給休暇が残っている場合、退職日までに消化しましょう。退職日までの給料を払ってもらうことも当然のことです。また、会社を辞めると、会社の健康保険は使えなくなります。①任意継続の手続をする、②国民健康保険に入る、③家族の健康保険の扶養に入る、のいずれかの手続をして下さい。そして、会社から源泉徴収票や離職票を受け取って下さい。
Q 失業保険を受けるための注意を教えて下さい。
A 離職票を受け取ったら離職理由を確認し、「事業主からの働きかけによるもの」(つまり会社都合)になっていることを確認してください。自己都合退職にされると、失業保険をもらえる期間が短縮されてしまいます。


交通事故

Q1)自動車をぶつけられました。大したケガは無かったので、相手は物損事故扱いにして欲しいと言っています。物損事故になると人身事故とどのような違いがあるのでしょうか。
A)物損事故で一番の問題点は、警察による現場検証(正確には実況見分と言います)が行われないことです。事故現場の状況が記録されないため、後日、過失の割合をめぐって争いになる場面が多々見受けられます。また、後で大きなケガだったことが判明する場合もあります。軽いケガだと思っても安易に物損事故扱いとせず、警察には人身事故として処理してもらいましょう。 また、本当にケガがなかった場合は物損事故となりますので、後に備えて、事故現場の状況を撮影しておくべきです。
Q2)事故現場での注意点を教えて下さい。
A)誰でも交通事故に巻き込まれるとパニックになってしまい、正常な判断ができなくなりがちです。まずは必ず警察に連絡しましょう(警察に届け出ないと、後日、交通事故証明書が発生されず、保険金の支払が難しくなります。)。 その上で、保険会社にも連絡して、どうすれば良いか助言をもらいましょう。
Q3)ぶつけられた自動車は10年乗った車ですが、修理代が100万円かかる見込みです。相手に全額賠償してもらえるのでしょうか。
A)相手に修理代を請求する際、自動車の時価額がポイントになります。時価額より修理代が低ければ問題はありませんが、時価額より高い場合には、賠償されるのは時価額までとなります。分かりやすく言うと、修理するよりも同じ車を買い換えた方が安く済む場合は、その買換費用までしか賠償されないということです。これを専門用語で「経済的全損」と言います。 10年乗った自動車は、通常、時価は100万円もありませんから、修理代>時価額となります。そうすると、修理代全額(100万円)の賠償は受けられず、時価額までの賠償となります。


登記が必要な場合

Q1)どんな場合に登記の手続が必要になりますか。
A)不動産に関して大きな変化があった場合です。例えば、土地や建物を購入したり、贈与したり、相続したりしたときは、所有権が移ったことを登記します。あるいは、住宅ローンを支払い終えたときは、金融機関の担保(抵当権)が消えたことを登記します。
Q2)登記の手続は必ずしなければならないのですか。
A)登記の手続をしなくても罰せられるわけではありませんが、後日のトラブルを防止するために、必ず登記すべきです。実態と異なる登記をそのままにしておくことには、様々なリスクが伴います。
Q3)登記の手続をしなかった場合、どんなリスクがありますか。
A)例えば、建物を買ったのに登記を売主のままにしておくと、売主が別の人(仮にAさんとします)に売ってしまう可能性もあります。その場合にAさんが先に登記してしまうと、Aさんから建物を取り返すのはまず不可能になってしまいます。代金を払ったのに自分の物にできないという事態が生じ得るのです。 また、相続があったのに登記をせずにそのままにしていて、子孫の代になると相続人が何十人となることがあります。そうなったときに売却しようすると、相続人全員に連絡を取って、実印と印鑑証明書をもらわなければならない事態になります。
Q4)将来売る予定がない土地でも登記する必要がありますか。
A)「売る予定がないから」と考えて登記をそのままにする例が散見されますが、将来何があるかわかりません。事情が変わって、いざ売ろうと思ったときには、いったん正しい状態の登記にする必要があります。それまでの間に関係者が亡くなったりしていると、今よりも何倍もの手間とお金が掛かります。今1の労力でできることが将来10になってしまう、それが登記をそのままにすることの一番のリスクと言えるでしょう。


落雪・除雪について

Q 屋根からの落雪について、注意することはありますか。
A 法的な観点から言えることは「自分の土地に降った雪は自分が責任を持つ」ということです。自宅の屋根から隣の土地に落雪しないように注意しなければなりませんし、場合によっては、塀を造る必要があるかも知れません。どうしても隣の土地に落雪してしまうなら、隣の人の了解を取っておくべきでしょう。
Q 道路に雪を捨てても良いでしょうか。
A いけません。「自分の土地に降った雪は自分が責任を持つ」が原則ですから、自分の土地に捨てるなど、最後まで責任を持ちましょう。なお、道路に雪を捨てることは道路交通法違反となり、同法では1年以下の懲役又は50万円以下の罰金と定められています。
Q 市の除雪車が通った後、除雪で寄せられた雪が自宅の前に置かれるのは困ります。法的に問題はないのですか。
A 市が行う除雪は、道路の交通を確保するためのもので、公共性の高い事業です。あなたの土地の所有権を侵害しているように見えますが、公共性の観点からやむを得ないものと言えるでしょう。また、除雪で寄せられた雪も、自分の土地に降った雪と同視できますから、各自で責任を持ちましょう。
Q 雪をめぐって裁判を起こしたいのですが。
A 雪の問題はみんなの問題ですから、助け合い・譲り合いの精神で解決すべきものです。法的な解決は向いていません。一人一人の良識が大事ですから、ルールを守って、みんなで冬を乗り切りましょう。


住宅ローンが支払えない

Q)収入が減り、毎月の住宅ローンが払えそうにありません。
A)何よりも先に借りている金融機関に相談しましょう。いったん延滞が発生してしまうと、条件変更や金利の優遇を受けられなくなる可能性があります。延滞が信用情報(いわゆるブラックリスト)に載れば、他にも影響が出かねません。金融機関に相談すると、毎月・ボーナス月の返済額を減らしたり、一定期間減額できる場合があります(その分、返済期間が延びたり、後で増額返済することになります)。
Q)既に住宅ローンの延滞が発生してしまいました。
A)返済の目途があり、延滞が1か月程度であれば、やはり金融機関に相談しましょう。なお、他から借金をして延滞解消を図るのは、問題を先送り・悪化させるだけです。
Q)他から借金をして住宅ローンを支払ってきましたが、それも限界です。
A)個人再生を検討しましょう。個人再生を利用すると、住宅ローンはそのまま支払い続ける一方で、他の借金を大幅に減額することができます。自己破産と同じように裁判所に申し立てる法的手続ですが、個人再生は住宅を残せるのが大きなメリットです。
Q)住宅ローン以外の借金は、どれくらい減額できるのですか。
A)原則として1/5になります(但し、最低額100万円)。例えば、住宅ローン以外に500万円の借金がある方は100万円に減額され、300万円ある方は100万円(この場合は最低額)に減額されます。住宅ローンの支払いと並行して、100万円を原則3年で分割(毎月約3万円)支払い終えると、残りの借金はなくなります。
Q)住宅ローンを延滞していても、個人再生を利用できますか。
A)できますが、条件は厳しくなります。繰り返しになりますが、住宅ローンは「延滞する前」が勝負なのです。


保証人になって欲しいと頼まれた

Q)友人から車のローンの保証人になって欲しいと頼まれました。保証の契約する際にどんなことを注意すればいいですか。
A)契約者がローンを支払えない場合、保証人は契約者に代わって残りの全額を支払わなければなりません。その友人に返済能力はあるか、仕事に対する態度はどうか、人柄は信頼できるか等、よく考えることです。また、万一の場合、ローン全額を自分が支払えるかも考えてください。安易に保証人を引受けないように注意しましょう。
Q)友人は「絶対に迷惑をかけないから」と言っています。
A)保証人を頼んでくる人は、ほぼ100%そう言います。しかし、その後トラブルが発生しているのも現実です。そもそも保証人は親や兄弟姉妹に頼むのが普通で、友人に頼む時点でおかしな話です。親兄弟が保証人になってくれないというなら、その人の信用に問題があると考えるのが普通でしょう。
Q)後日、友人の「絶対に迷惑をかけない」が嘘だと分かった場合、保証の契約を解除できますか。
A)保証契約はローン会社とあなたの契約です。あなたが友人に騙されたとしても、ローン会社は無関係ですから、解除できません。責任から逃れることはできません。
Q)友人からアパートを借りるので保証人になって欲しいと頼まれました。Q1と違いがありますか。
A)賃貸借は継続的な契約と言われ、保証する金額もいくらになるのか予想ができません。知らぬ間に賃料の未払が長期間になっていたり、部屋が傷ついて高額の損害賠償が発生したりすれば、予想外の請求金額になることもあり得ます。そこで、2020年4月1日以降の契約では、限度額が決められていなければ無効となりました。保証人になる際に、限度額(正確には極度額と言います)をよく確認し、支払えないような金額になっていないか、注意しましょう。